どうも、萬朶櫻(@wanduoying)、154朶目の記事です。
イラストレーターと云ふか、繪を描いてる人が惱みがちな事つて
_人人人人_
> 構圖 <
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サクラ
と思つてたらありました。紹介しま~す。
目次
巨匠に學ぶ構圖の基本―名畫はなぜ名畫なのか?(視覺デザイン研究所)
本書のポイント
- たくさんある構圖を、いくつかの型に分類
- 「惡い例」も出してゐて分かりやすい
- 作品數が多く、細かい違ひを見て學べる
また全篇カラーでコラムも充實してをり、「なるほど」と思ふところがたくさんありました。
「構圖」について分かりやすく分類し、簡潔に説明してゐる
この本の目次です。
たくさんの構圖が紹介されてゐますね。
また單に紹介するだけでなく、「この構圖にはこんな意味、效果がありますよ」と逐一解説してくれます。
サクラ
第一篇 構圖の基本形
まづは繪畫の構圖を大まかに3つにまとめてゐます。
- シンメトリー型
- 對決型
- パノラマ型
そしてその他、細かい分類についての説明です。
シンメトリー型
シンメトリー型が表現するものは
- 威嚴
- 神聖
- 傳統
書中でも「シンメトリー型は最も保守的な構圖」として紹介されてをり、とにかく「カッチリ」した印象だと説いてゐます。
サクラ
對決型
對決型が表現するものは
- 力強い
- 活き活き
- 緊張
この對決構圖は必ずしも人物でなくてもよくて、「物憂げな表情」と「たくましい肉體」といふ對立もアリです。
書中では「緊張感が高まりドラマが生まれます」と書かれてをり、畫面に何かしらの動きを與へたい場合にはピッタリな構圖でせう。
サクラ
パノラマ型
パノラマ型が表現するものは
- 自由
- 開放的
- のびのび
シンメトリー型には「明確な主役」があつて、對決型には「嚴しい對立」がありました。
飜つてパノラマ型にはさう云ふものが無く、自由で開放的です。
しかし畫面全體が散らからないやうに氣をつけないといけないとのこと。
サクラ
その他、より細かい分類
上記3つの構圖以外にも
- シンメトリー崩し型
- 衞星型
- 圍ひ込み型
- 流水型
- 均一型
- 片流れ型
などなど、派生的なものが紹介されてゐます。
第二篇 構圖の組み立て
ここでは、第一篇で解説されてゐたことを踏まへて、
- 版面率
- 情報量
- 斜水性
- ジャンプ率
- プロポーション
- 粗密對比
- 直曲對比
- 鋭鈍對比
- 痩肥性
こんな要素を紹介してゐます。
たとへば斜水性、これは畫面の中に斜めの綫を入れるとどんな效果があるのか。
鋭鈍對比は、尖つた物と丸みのある物とを組合せるとどんな印象を持たれやすいのか。
そんなことが書かれてゐます。
第三篇 主役を引き立てる
繪畫には5役4景があると言はれてゐます。
- 5役とは、主役、敵役、脇役、狂言囘し役、背景
- 4景とは遠近表現の區分で、近景、中景、遠景、點景
これらの組み合はせによつて、畫面にどんな變化が表れるのかが論じられてゐます。
たとへばこのページでは、主役の引き立て方についてかかれてゐます。
第四篇 人體のメッセージ
構圖の他に、人物のしぐさについての解説もあります。
多くが視綫についての内容で、オマケで手足のポーズについて少し觸れられてゐます。
サクラ
▼しぐさやポーズについては、こちらの本『しぐさで讀む美術史』も參考になるかと。
「惡い例」も出してゐて分かりやすい
大まかな流れとして、まづ「惡い例」が出されます。
「惡い例」は別の作品や、もしくは元の作品をPhotoshopで改變したもの。
次に「いい例」として本來の作品を竝べます。
2つを見比べて、「この構圖にはこんな意味があるんだよ」と説明してゐるわけです。
サクラ
作品數が多く、細かい違ひを見て學べる
この本、とにかく畫像が多いです。しかも全部カラー。
ホントに畫像が無いページを探すのが難しいレベルです。
また一つの構圖を説明する際に、別の時代、作者の作品を竝べることもあります。
それぞれどこがどう違ふのか、細かく解説されてゐました。
似た作品でも、細かい要素を變へることによつて、どんな效果があるのかが一目瞭然です。
作者に關する豆知識も
案外うれしいのが、その作品の作者についての薀蓄についても書かれてゐることです。
サクラ
まとめ
惱ましい構圖の問題。
これくらゐ言語を用ゐて理論的に解説してくれると、繪描きはありがたいですね。
サクラ
▼この記事で紹介した『巨匠に學ぶ構圖の基本』
▼關聯する書籍『しぐさ・モチーフで學ぶ美術史』シリーズ
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